今話題の映画「国宝」を観てきました。3時間という長い映画でしたが、時間を忘れさせるような素晴らしい映画でした。これから観られる方にネタバレになってしまったら面白くないのでストーリーについては、詳しくお話ししません。私が映画から受けた感想や製作者が言いたいと感じたことについて述べたいと思います。
設定は、歌舞伎の世界です。歌舞伎の世界は、全て男性が演じる芸の世界で、代々子息が跡を継いでゆく世襲社会です。世襲という強力な拘束があるため子供のころから演技や踊りを師匠(父親)から徹底的にたたきこまれ、他人には入り込めない領域まで到達させて行くのでしょう。
この映画では、世襲・血筋がひとつのテーマになっていて、その葛藤が見事に描かれています。世襲で思い浮かぶのが政治家(議員)の世襲問題です。地盤・看板・カバンといわれるように国会議員の子息は、跡を継いで当選しやすい環境が初めから用意されているようなものです。世襲では、決して庶民感覚の政治家は、生まれません。親は、議員でなく自ら志高く政治家をめざしている人とは、雲泥の差・大きなハンデがあります。家業のように親から代々議員を世襲していくのは、国民のためにならないので、やめていただきたいと思います。
映画「国宝」では、歌舞伎界のタブーを破り世襲を覆して実力のある者が跡を継ぐということも強烈なインパクトで描かれています。これ以上書くとほんとにネタバレになってしまうのでこの辺にします。本を読むのは、好きですので、あらため天才吉田修一さんの原作も読んでみたいと思います。
(進)