NHKプロジェクトX美ら海水族館を見ました。水族館関係のスタッフの方、水族館を設計した建築家の方の努力は、もちろん素晴らしいのですが水槽のアクリルガラス(幅22.5m×高さ8.2m)を製造されたメーカーの挑戦は、圧巻でした。
この大きさの水槽が大量の7,500トンの海水の水圧に耐えられるかどうかが大きなポイントなのですが、ダムのコンクリートならまだしも、透明のアクリルガラスがこれに耐えられるかは、誰もが不可能だと思ったでしょう。
これにチャレンジしたのが四国の中小企業のアクリルガラスメーカーでした。社長は、負けず嫌いで「出来ない」と言うことは、絶対に言わない人だったそうです。結局「出来ます」と言って仕事を受けて来てしまい、息子の専務が中心となってこのアクリルガラスにチャレンジすることになりました。
透明性の高いアクリルガラスですが厚さ60cmの四角柱状のアクリルガラスを何枚も特殊な接着剤で張り合わせて幅22.5m×高さ8.2mのひとつの板にするのですがとてつもない重量と大きさなので想像を絶する苦労をして作り上げたようです。
水槽に海水を注ぎ込む時には、このアクリルガラスが壊れたら大惨事になるかもしれないと心配しながらの作業だったのですが、緻密な構造計算をしていたのも成功に導いた要因です。
この水槽の完成で美ら海水族館では、たくさんの来場客が7mのジンベイザメが立ち泳ぎをするのを見て感動の体験をしています。沖縄の観光の目玉となり、現在でも沖縄観光業に大きく寄与しています。
四国のアクリルメーカーは、日本全国の水族館から大型水槽のアクリルガラスの製造の依頼があり、UAEのドバイはじめ世界各国の水族館からアクリルガラスの引き合いがあるようです。
決して断らないチャレンジ精神と情熱が不可能を可能にしたのだと思います。なかなか見習えるものでは、ありませんが、少しでも近づきたいものです。
(進)